建築雑誌オールレビュー

代表/細野透
会員/家成俊勝、大津なほ子、北嶋祥浩、北原さと子、黒崎敏、神徳香子、今野靖人、殿木真美子、
   萩原詩子、平塚桂、守山久子、吉川彰布、脇坂圭一

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2008年02月11日(月)

[建築雑誌]1月号 [建築雑誌]

[建築雑誌]1月号・日本建築学会・1300円


◇特集1[『建築雑誌』は必要か?]【★★★☆☆】

 五十嵐太郎氏を委員長とした新編集委員会の第1号。特集の冒頭で、「ほとんど見ない」「内容がつまらない」「読みにくい」など、ネガティブなフレーズが赤字で並んでいる。

 情報過剰の今日、消費意欲を喚起するには、「来月から値上げします」などネガティブなキャッチのほうが人の目にとまるといわれるように、なるほどインパクトはある。

 しかし、植田実氏が述べているように、『建築雑誌』は「会員に支えられた会誌」であって、「店頭販売と広告収入に頼る商業誌」とは異なる。消費の女神に媚びないところに、救いを見出している静かな読者のこともお忘れなく。

 本号は編集のクリティークを特集としており、創刊準備号といっていい。次号では、本物の第1号を期待したい。




◇ 特集2[建築学会作品賞を問う]【★★☆☆☆】

 2007年建築学会作品賞でなぜ京都迎賓館(設計:中村光男・佐藤義信)が落選したのか、を編集委員会顧問の細野透氏が野次馬ルポしている。おもしろい建築家ゴシップであり、つい読んでしまう。

 「京都ルポ:現代の『和』とどう格闘するか」(守山久子)を挟んで、再び細野氏の「建築家はなぜ賞をめざすのか」。最近の新書の傾向のように、タイトルだけ見れば内容がわかる読み物が続く。

 本特集は、建築作品の評価のしかたについて考える機会にはなっているが、建築について考える機会を提供してくれてはいない。

 「和」か否かを超えて、京都迎賓館にはどのような思想が込められているのか、そんな知的探求を期待した読者もいたであろうに。




◇巻頭コラム [変わるもの、変わらないもの]【★★★★☆】

 林昌二氏(日建設計名誉顧問)、80歳のつぶやき。

「近頃、どうして名前は一生変わらないのか、不思議に思うようになりました。私の名前のことです。なぜかというと、世の中、なんでも気軽に変わるからです。地名が変わります。学校名が変わります。そういうものは、一生変わらないものと思っていましたし、変わらないほうがよいとも思うのに、遠慮なく変わります。」

 変わらないでほしいと思うものが変わり、変わってもいいのではないかと思うものが変わらない・・・。『建築雑誌』やいかに?




[今号の評者、建築&住宅メディア研究会 岡部明子]

◇岡部明子(おかべあきこ)
建築家、千葉大学准教授。スペイン、バルセロナに10年暮らすうちに、関心が建築単体から都市や地域へとシフト。現在は、EUレベルの環境・地域・空間政策を中心に調査研究。合わせて、脱近代思想の公共空間論を模索中。著書に「ユーロアーキテクツ」「サステイナブルシティ」(学芸出版社)、「持続可能な都市」(共著、岩波書店)ほか。

◇建築&住宅メディア研究会
代表:細野透
会員:今井早智、岡部明子、今野靖人、殿木真美子、萩原詩子、平塚桂、守山久子



Posted by 管理者 at 11時30分

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